更新日:2026年10月4日
未経験からエンジニア・SEになるには|現場が見ている採用基準
筆者が未経験者の面接評価に関わった中で重視したのは、学習を続けていること、自分の取り組みを説明できること、チームで働く姿勢です。ポートフォリオの必要性は職種と応募先によって異なります。以下は筆者の経験に基づく準備の観点で、すべての企業に共通する採用基準ではありません。
エンジニアとSE、未経験者から見て何が違うか
「エンジニア」と「システムエンジニア(SE)」の呼び分けは、実は企業ごとの慣習によるところが大きいです。 目安としては、SEは要件整理や顧客折衝を含む上流寄りの案件が多く、エンジニアは実装寄りの案件が多い傾向があります。
未経験の段階でこの違いを厳密に意識しすぎる必要はありません。求人票の「業務内容」欄を確認し、 実際にどんな作業が中心になるのかを見て判断する方が実務的です。
筆者が面接評価で重視した3つのポイント
筆者が未経験者の面接評価に関わった範囲では、学習の継続、自分の取り組みの説明、チームで働く姿勢を重視しました。次の3点はその経験からの整理で、全社共通の採点表ではありません。
1. 学習の継続性
「勉強しようと思っています」より「もう3か月続けています」の方が圧倒的に強いです。 継続できているという事実そのものが、実務での学習能力の代わりの判断材料になります。
2. 再現性のある説明ができるか
作った成果物について「なぜその技術を選んだか」「どこでつまずいたか」を自分の言葉で説明できる人は、 入社後も自走して学習できる印象を持たれやすいです。逆に、丸暗記した説明しかできない場合は不安材料になります。
3. チームで働くイメージが持てるか
エンジニア・SE職はひとりで完結する仕事ではありません。指摘の受け止め方、報告・相談の姿勢など、 技術力以前のコミュニケーション面も、未経験採用ではむしろ比重が大きくなります。
ポートフォリオは必須か
結論としては、職種によります。Webエンジニア志望であれば、簡単なものでも動くアプリケーションがあると評価材料として有効です。 一方、SES経由の実務未経験採用や運用保守職などでは、ポートフォリオが必須になっていないケースも多くあります。
重要なのは「完成度の高さ」より「自分で手を動かした形跡があるか」です。教材のコピーそのままより、 小さくても自分なりに手を加えた跡がある方が、面接での会話が深まりやすいです。
AIを使うことと、自分の手を動かすこと
筆者は、AIや教材を使っても、作ったものの仕組みや修正した理由を自分で説明できる状態を勧めます。成果物を用意する場合は、実際に動かし、分からない部分を確かめる過程も記録してください。
AIコーディングツールを使うこと自体は、今はもう当たり前で、使わない理由はありません。 ただし採用側が見ているのは「AIに何を作らせたか」ではなく、「AIが何をしているかを理解しているか」です。 出力されたコードの意味を説明できない、動いた理由も動かなかった理由も分からない、という状態だと、 入社後に自分で判断して開発を進められるか不安視されます。
未経験者にとって一番の武器は、経歴の長さでも資格の数でもなく、「自分の手を動かして、何かを最後まで作った経験」です。 AIの力を借りながらでも構いませんが、途中の試行錯誤や失敗も含めて自分の言葉で説明できるようにしておくと、 面接での深掘りに強くなります。
独学・スクール・職業訓練、それぞれの評価のされ方
筆者は、学習方法の名前だけでなく、何を継続し、何ができるようになったかを説明することを重視します。独学・スクール・職業訓練にはそれぞれ特徴がありますが、応募先の評価方法は個別に異なります。
- 独学:費用を抑えられる。学習記録や成果物で継続力を示す工夫が必要
- スクール:体系的なカリキュラムと就職支援が受けやすい。費用と期間の負担がある
- 職業訓練:費用負担を抑えつつ基礎を学べる。開講内容や期間は制度・地域で異なる
どれが正解ということはなく、自分の生活状況(在職中か、離職中か、費用をかけられるか)に合わせて選ぶのが現実的です。
面接でよく聞かれること
志望する理由、取り組んだ学習、分からないことをどう調べたかは、準備しておきたい説明です。技術質問の深さや内容は応募先によって異なるため、募集要項や案内も確認します。
- なぜIT業界、なぜこの職種を選んだのか
- 学習で苦労した点と、どう乗り越えたか
- これまでの職務経験の中で、今回の仕事に活かせそうな点
- 入社後、どのくらいの期間で独り立ちしたいと考えているか
- 指摘やフィードバックを受けたときの対応の仕方
技術的な深掘りよりも、志望動機の一貫性と、入社後の学習姿勢を確認する質問が中心になることが多いです。
入社後に苦労しやすいポイント
学習と実務の違い、周囲への質問、業務の進め方は、入社前にも確認しておきたい点です。次に挙げる内容は筆者が現場で見てきた課題で、誰にでも同じ困難が起きるわけではありません。
- 最初の数か月は専門用語についていくだけで手一杯になりやすい
- 研修と実務のギャップに戸惑う(研修では丁寧でも、現場はスピード重視になりがち)
- 「分からないことが分からない」状態が一定期間続く
これは能力の問題というより、誰もが通る過程です。分からないことを早めに聞く習慣をつけられるかどうかが、 その後の伸び方に影響します。
まとめ
筆者が未経験者の面接評価に関わった中で重視したのは、学習を続けていること、自分の取り組みを説明できること、チームで働く姿勢です。ポートフォリオの必要性は職種と応募先によって異なります。
AIツールが当たり前になった今も、評価される核は変わりません。参考サイトを見ながら自分の手で作ってみること、 AIが何をしているかを理解しようとすること、その積み重ねとしての「自分で作った経験」が、未経験者にとって一番の武器です。
全体像や年代ごとの違いは、IT未経験からの転職は可能かと 20代・30代・40代で何が違うかにまとめています。
本記事は、筆者がIT業界で採用・育成に関わってきた経験と一般的な傾向をもとに書いています。個々の企業・求人の実態を保証するものではありません。